358.木の教え

あけましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いいたします。

今年初めに
父から薦められた本
いままでそういうことがなかったので
なにはともあれ読んでみることにしました。
本のタイトルは塩野米松著「木の教え」です。

主には
宮大工、船大工の話です。
宮大工には「口伝」というものがあります。
法隆寺の宮大工の棟梁には寺を作り、守るための
口伝が残されています。
口伝とは文字にはあらわさず、棟梁から次の棟梁になるべき人に
口移しで伝えられる秘伝のことです。
そのいくつかの口伝がありそれを解説してある本です。

その中の一部の口伝について書きます。
「寸法で組まずに癖で組め」
太く大きな木は寿命の長い木です。
大きな木はその時間の分だけ、自分の育った環境の影響を
大きく受けている事になります。
それが癖となって材木になった後でもでてくるのです。

厳しい環境で育った木は、それに耐え続けたという癖
たとえば西風に吹かれて育ってきた木は根元も風に負けないように
しっかりと張っています。そして風に押されたら押し返す力が
蓄えられています。
こういう木を伐り、材にすると 木に備わった
風に対抗する力がねじれとなって出てくるのです。

そうすると4本の柱を立てるとすればどう立てるでしょう?
前述のとおり材木にはねじれという癖があります
4本とも同じねじれの方向に建てたてたとしたら
最初は寸法どおりでも 次第にねじれる癖がでてきて
建物全体がねじれてしまう。これでは建物の寿命が短くなります。

宮大工は互いねじれる方向を逆側に柱を建ててあります。
法隆寺はこうした後に現れる木材のさまざまな癖を生かして
千三百年持ってきたのです。

船大工は「人間の目はごまかせても水はだませない」という
2枚の板を重ね合わせて釘で止めただけでは必ず
間から水がしみこみます。
もし出来るものなら板同士を真っ平に削ってくっつけて
しまえばいいのですが、乾燥すれば縮み、湿気があれば膨らむ。
変化するものをまっ平らにする
というのは人間の頭の中で考えたことで実際には
ありえないことだからです。
木の膨らむ癖をうまく生かして水漏れの無い船を作り上げるのが
船大工の技術。
今では便利な強力な接着剤あります。
これを使うと手間もなく水漏れが無い物が作れるのですが
船大工は使わない。
いわく「接着剤でくっつけたら解体ができんじゃろ。
解体ができるような接着剤なら、おそろしくて使えんだろうしな。
接着剤でくっつけてしまっては解体した材料がもう使えなくなってしまう。」と

宮大工 棟梁 西岡常一氏は
「千年の木は千年はもつようにしなくてはならない」と
千年のヒノキを千年持たせる事が出来るなら
寿命千年の一期を伐ったそのときに
新しく苗を植えておけば資源に困る事はない。

後に視点をおいて考えよ。
職人達に言われているようだった。




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